アスパラと枇杷

アスパラガス、もらっちゃった 。

庭に出たら、遠くの方から、呼ぶ声がする。自分を呼んでいるのかどうかわからないけれど、きょろきょろ見回したら、この前、留守中に枇杷を一袋門の柵にかけて置いた家のおばさんだった。彼女、ディズニーランドに勤めているから、震災と津波の影響で、しばらく休みで自宅に待機していたが、最近見ないところをみると、仕事が始まったらしい。それで、会うことがないので、枇杷はそういう形で上げたのだ。

彼女、自分の家の二階のベランダから怒鳴っていた。「ね~~~、枇杷ありがとう!ところで、アスパラガスあるけど、いるう?」

彼女の田舎は北海道で、よく田舎からアスパラガスが送られてくる。一度いただいたことがあって、それが、そこいらのアスパラガスと同じものとは思えないほどおいしかった。「いるいるいる!」と怒鳴り返した。

うちの枇杷、もうほとんど、手の届くところには、ない。枇杷酒は4本漬け込んだし、近所中に分けたから、もう、あとは鳥に上げようと考えていた。でも、彼女が、あまりに枇杷がおいしかったと大声でいうから、もっとあげようか、と言ったら、欲しい欲しいと言う。

うちの枇杷は、木が大木で、たいして剪定もせず、手入れなどしないから、大量になって、小粒だけど、売り物よりおいしいのだ。

常識人は、美味しいものでも「つまらないものですけど」と言ってあげるらしいのだけど、私はいつも、「おいしいぞおいしいぞ」と言ってあげるから、人がどう反応しているか、知らない。だから、本当においしかったと言ってくれると嬉しいし、もっと欲しいと言われると、もっと嬉しい。

アスパラのおばさん、どんな枇杷でも欲しいと言うので、ベランダに行って、苦労して、傘の柄を伸ばして枝をひき寄せてとった。それで、アスパラと交換みたいなことをしたんだけれど、実はやっぱり、あまり立派じゃない。急いでとったから、選んでないので、適当に食べられそうなものを食べてね、と言って、渡した。

たぶんだけど、彼女も私と同様、あまり人付き合いが上手じゃないらしい。初めのころ、うまくいかなかった。わざわざ喧嘩を避けなければならないほど、うまくいかなかったこともある。でも、「物」って「物を言う」ネ^^。枇杷のおかげで、私のご近所は、何とかうまくやっていける。