naisentaiken’s diary

エルサルバドル内戦体験記

あの手この手の婆騙し

むむ。どうしよう、この坊や。

1週間ほど前、浄水器のメンテナンスに伺うという電話があった。

私は母を引き取って介護していた平成元年、名前を忘れてしまったある会社から、浄水器を買った。当時25,6万円だったと思う。兄が販売員をやっていたことと、母の最後によ彼と思って買ったのだけど、それはなかなか良い浄水器で、他の会社が自分の商品を得るために行った水の検査でも、其の水は、完ぺきだった。

ただ、その浄水器は場所をとる上に、カートリッジがかなり高く、しかも、3カ月から半年おきに交換と言う代物だったので、私は自分一人暮らしになってからは、2年おきくらいにしか交換しなかった。母の介護と言うことがないから、自分のための水ぐらいどうだってかまわなかったから。エルサルバドルの水だって、凄い病気を経過して、しっかり免疫になり、帰国の時は泥水でも飲めたのだ。今は、異常清潔の日本に慣れて、行くと3日目におなか壊しているけれど、慣れれば人間、どうにでもなるのだ。

ところで、その浄水器は、メンテナンスなんて一度もしに来たことはなかった。電話をかけてきた主は、メンテナンス専門に回っては、自分の製品を売りつける会社らしい。だから、いつもなら断っていたのに、其の時は、別の問題に手いっぱいだったためか、来ることを受け入れてしまったらしい。

ところで今日来たその青年は、私の浄水器の購入年月日を見て、たまげていた。彼が1歳の時の購入だ、とかいって^^。なんだか、坊やに見えた。家の中の絵だとか、私の怪しい姓名に気が回って仕方ないらしく、操作の合間に手を止めて、ウルサイ質問ばかりした。私がうるさがると、今度は「鶏まで飼っている」と言って、部品を取りに行くふりをして、鶏を見に行った。帰ってきて、「綺麗な鳥がいたけれど、あれ、なんですか?」という。黄金金鶏の将門のことだ。

なにしろ、まるでがきんちょなの。

で、彼、自分が1歳の時から私が使っている年代物の浄水器の構造もわからず、もちろんメンテナンスの方法もわからなくて、買った時の書類を見せてほしいという。それで、やり方を全部説明してやったら、彼は会社に電話して、うちの方の浄水器のカートリッジがあるかどうかを確認していた。

あってもなくても良い。適当な時に、私が直接注文するし、自分で交換ぐらいできるから。

まるでどうでもいいような態度でいる私を見て、彼、やりにくそうに、本業の売り込みを開始した。彼の売りたい浄水器は、カートリッジの交換が要らず、うちのを、高いカートリッジを半年ごとに交換しながら18年使ったとすると、こちらの方がお安い値段だとか言い始めた。

あのね、88歳になる頃までに自分の持ち物が壊れたって、どちらが高いかなんて計算しながら、長持ちする方を買うなんて気起きませんよ。ニヤニヤしながら、私は答えた。彼の言うような36万もする値段のものを今すぐ買えと言われて買えるような身分じゃないのだ、自分は無職で無収入で、宝くじにでも当たらないと、そんな贅沢はできませんよ。

ところがである。

彼は私の絵を見て回り、凄く鳥の絵が気にいったらしい。それで言うには、25万前には安くするから、その上この絵を僕が買ったら、どうでしょう、この鳥の絵凄く気に言ったんだけど、9万だから、16万になるじゃないですか。

その手に出たか。若く、まだひよっこのようだけど、押し売りの術としては、うまいかも。

しかし私は動かなかった。しがない絵描きにとって、絵を買うという人がいるというだけで、心はかなりくすぐられた。しかし今、自分のためにだけ、16万だって使う気持ちになれない。この手の商売に落とし穴があることは、私はよく知っている。坊やが絵を買うと言ったことで、うかつにも、私はいい気分になった。しかし、今日決めてはいけない。今載せられている自分の状況を冷静になってから、考え直さなきゃいけない。

だって、「絵を買う」と言うのはあくまで「条件」であって、私が彼の押し売りに応じなかったら、良い絵でも悪い絵でも、買わないんだからね。絵を評価されたことにはならない。

ところで、彼が帰り、イオンまで買い物に行き、それからテレビを見たりして落ち着いてから、ネットで、「カートリッジ不要の浄水器」というのを検索して見た。それらは高くても、5万もしなかった。