日本語はゆかしい

エルサルバドルで日本の干しシイタケが手に入る。娘が菜食主義者になってから、料理のおはちが私に回ってきて、日本の味にこだわる私は、良くこのシイタケを使う。

ところで、シイタケは、日本の食材だと思うけれど、スペイン語では「オンゴ」といい、「菌」をあらわす言葉と同じだ。シイタケは「菌」には違いない。シメジもマツタケも「菌」である。でも有り難いことに、日本語では食材となった品物を生物学的分類名で呼ぶ習慣がない。

スペイン語の「オンゴ」は菌だから、菌としては同格の水虫のことも「オンゴ」という。「オンゴ」と言われてシイタケをたべるのと、「シイタケ」という呼び名で同じものをたべるのとでは、「うまさ」そのものにも格段の違いがある。水虫は同じ菌でも食欲をそそらないからね。

ちょうど、現在「トイレ」と呼ばれている場所を、その昔、厠と呼び、雪隠と呼び、便所(便は本来、糞の意味はなく、用事を足すという意味)と呼び、手水と呼び、ご不浄と呼び、お手洗いと呼び、決して「脱糞尿場」とは呼ばなかった、それと似て、日本語の床しさを深く思う。

この国では、ププサとよばれるすごく一般的なエルサルバドルの料理がある。グアテマラではまったく同じものを「ドブラード」と呼ぶ。グアテマラのレストランで、エルサル人が「ププサ」と言って注文すると、ウェイトレスの女の子が恥じらいながら、「あの~、ドブラードですね」と聞きなおす。不審に思って「ププサ」とはそもそも何ぞやと、聞いたことがあるんだけど、ぎょ!

で、実は、今日娘は半日実験の日で、昼も弁当がいるから、おにぎりでも作ってくれというので、さしあたって、ある食材で、手巻きずしを作ってみた。干瓢も梅干しもないから、オンゴを大量に使った。

今誰もいないから、暇。足が痒い。靴下脱いでよくよく見たら、足の裏にシイタケが生えていた。