naisentaiken’s diary

エルサルバドル内戦体験記

2日から帰国まで

7月2日になりました。

昨日、娘が路上で、車から降りてきた男に個人情報と財産を詰め込んだカードを奪われてから、半狂乱になった娘を鎮めて、口座の凍結と、DUIと呼んでいるこの国の身分証明の紛失届けと、家の鍵の交換をやってのけたのは、冷静で穏やかな主人だった。

手続きに必要な番号だの、パスワードの記録は、すべて奪われたバッグの中の手帳と携帯にあったから、動揺している娘には、困難な作業だった。おまけに、日曜だったから、銀行や公共機関があいている可能性は低かった。

主人は娘の口座がある銀行と同じ銀行に口座を持っているから、その記録から盗難や紛失届の電話番号を調べ、何とかテープの音声でなく、直接話ができる相手とつないだ。まだ手元に娘の情報が何もなかったが、先に事情だけを説明して、娘に、どこかに記録がないかを探させた。実は、この数週間、私の長期滞在ビザの申請のため、家族の公文書の記録をスキャンしたり、コピーしたりしていたから、どこかに必ずあるはずだった。

でも半狂乱状態では、すぐ近くにあるものも見つからない。書類は山ほどあって、何が何だか分からない。二人とも、整理能力に欠けた民族特有の性格を持っているから、分類などという作業をする能力がない。手に入った書類はその都度ファイルに収めるくせのある私には、こんなの豚と変わらないから付き合っていられない。

二人は散乱した書類の山の中から、盗まれた口座凍結のために銀行から要求されている娘のDUIの番号を探し出す、そういう作業をやらねばならなかった。

二人は犬が穴を掘るように、書類の山の中を探しまわった。実は、私の延長ビザを申請のために、このところ、家族の書類を何度かスキャンして印刷もして書類を作っていたのだ。だから落ち着いて探せば、それらの記録はどこかに埋もれているはずだった。

電話の相手がよくそういうことを待っていてくれたと思う。其れでもやっと銀行の口座番号と、DUIの番号を見つけたときは、二人は歓声を上げていた。すったもんだの末、口座はブロックされた。次の日、娘は銀行に確認に行ったが、1ドルも減っていなかった。
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7月7日
この7日と言うのは、日本時間の7日。エルサルバドルはまだ6日のはずだ。つまり、私は日本に帰国した。去年の自宅の個展の時に出会って、私の英語教室に来てくれていた奥さんが、成田に迎えに来てくれた。ありがたい。

実は大韓航空で日本とロスを往復した今回の旅で、もう、2度と大韓航空は利用するまいと思った。知りあってもいない、特に、誰が日本人で誰が韓国人で、だれが中国人かも判明しない人々が、なんだかお互いに冷たいのだ。

11時間も不自由な機内で行動を共にする。お互いにお話ししたりして、友好を深めようじゃないの、そう思って、私は話しかけた。ところがその韓国人、狐みたいな顔して丸でそっけないの。何を言っても冷淡な顔して、会話を続けようとしない。

それだけじゃない。大韓航空の機内放送って、日本語の説明をほとんどしない。しても、韓国語と英語で長長と説明をした後で、日本語では、まるで説明をせず、「前の座席にある説明を読んでください」とだけ言って終わらせる。

なんか、日本を軽視するようにわざとやっているとしか思えない。

もう後1時間で成田着と言う時になって、隣の狐女が急に口をきいた。

いきなり「お前の宗教はなんだ」と言う。げ!何話しかけても返事しないくせに、なにが宗教だよ。なんだなんだと、怪訝な顔した。

私はこういうのと宗教の話なんかしたくない。一所懸命言葉を濁した。ところが彼女、狐みたいな顔で、詰め寄ってくる。「お前はキリストを信じるか!」「お前はキリストを信じるか!」「お前はキリストを信じるか!」

冗談じゃないよ、そんな話。どうせへんてこな教祖が泡吹いているキリスト教の一派に所属しているんだろう。年齢30代くらい。30代で泡吹いている宗教家は危ない。こういうときは英語がわからないふりするに限る。ふにゃふにゃごちゃごちゃ言葉とも思えない音声を発して、私は逃げた。

そうしたら、今度は「お前の名前はなんという!」と詰め寄ってきた。それくらいの英語わからないふりできないから、答えたら、「そうか、虎!、私はお前のために祈ろう!」とか言って口をつぐんだ。

きっとこういうのに憑かれているために、私の身に災いが起きるんだ。もう。
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帰国早々、二人の友人が救援物資を送ってくれて、食料を得た。それから、近所の人が、買い物連れて行ってくれるといいに来てくれたのだけど、昨日帰国したばかりで、今日は土日だから、手持ちのドルの換金ができず、買い物ができないと言って断った。

ところで、たまった郵便物を調べていたら、数件のアンケートの会社から、合わせて4000円に当たる金券が送られてきているのを発見した。買い物に誘ってくれた人にその話をしたら、買い取ってくれるというので、買い物に行けることになった。もうこりごりなので、カードなんか使いたくない。

なんだかみんな親切だ。庭は木が生い茂っていて、かなり手入れが必要だけど、私が去年植えた百合が凄く勢い良く咲いていた。こりゃあ、目を引くだろうと思って、写真に撮った。

シャガも凄く見事だったと猫のおばさんが言っている。近所の人たち、私の帰国を喜んでくれている。それがうれしい。