naisentaiken’s diary

エルサルバドル内戦体験記

生きているといろいろある

今日も一応生きている

私は30代後半から40代にかけての8年間、中米エルサルバドルにて、内戦の体験をした。その体験の意味を私は当時分かったわけではない。日本に帰国して落ち着いて、何とか生きる体制が整ってから、私は過去を考えた。その数奇の生涯を思い浮かべた時、私はこのように生きてきた自分の使命を考えた。日本に帰国してから私は昔の友人たちを相手に、見てきたことを話したら、それを誰も本気にしなかった、ある人は、不思議な顔をして、「それ、何世紀前の話?」と聞いてくる始末だった。

 

自分にとって、ごく普通の世界の出来事が、平和とか言われる日本人には、ほとんどおとぎ話に聞こえるんだ。。。と私は半ば呆れ、そしてだんだん、この体験をした私には、たぶん伝える使命が託されている、と考えるようになった。

 

いろいろなサイトで、自分の体験記を書いた。はじめ書いたサイトは人様のサイトだったと思うが、記憶が薄れている。当時チャットの部屋があって、皆ニックネームで呼びあっていたから、チャットがなくなった後、交流の方法もない。かろうじて残ったのが、楽天ブログとライブドアブログ。最後に特筆すべきはFC2とかいうサイト。

 

そのFC2に載せた体験記に対して、以下のようなコメントを頂いた。

 

「平成24年12月21日

エスコバル 瑠璃子 様

文芸社

出版企画部A

拝啓

時下、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

こ師走の候となりましたが、エスコバル様はいかがお過ごしでしょうか。

この度は貴重なご著作を拝読させていただき、ありがとうございました。エスコバル様の作品につきまして、私、が担当を務めさせていただきますので、改めてご挨拶を申し上げます。担当者として誠意を持って対応させていただく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

弊社からの出版に際しましては、書店での販売を前提としておりますので、一般流通書籍としての適否(公共性)を審査いたします。また同時に、完成度や表現力だけに左右されない作品性を見極めるための独自の基準を設けており、これまで培ってきたノウハウを用いて判断しております。

お寄せいただいたご著作に関しましては、原稿審査担当部署にて丁重に拝読した結果、原稿量の問題から本の体裁的な部分は相談しなければなりませんが、本作りのみの私家版(書店流通出来ない本)では無く、弊社新刊書籍として日本全国の大手書店最低200書店での陳列を含め、流通できると判断されましたことを、まずはご報告申し上げます。

出版に際しエスコバル様に初版に関わるご費用の負担をお願いする条件での出版にな

りますが、ご著作とエスコバル様を存じ上げない未知の読者との出会いの場をご提供できますことを、担当者として嬉しく思っております。

 

編集面や販売促進面なども含めてかなりの部分で応援をさせていただこうと考えて

おります。

 

それに伴い、簡単ではございますが、今回お預かりしたエスコバル様の大切な作品に関する講評を書かせていただきました。

中略

 

時節柄、体調面などには気を付けてお過ごしください。 

 

末筆ながら、エスコバル様の今後のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。

 

敬具

 

*作品講評*  

 

◆ 人生を謳歌して生きる人もいれば、息をするのも辛いほど生きづらい人もいる。その違いは、感受性の鋭さと思惟の深さ、そして、それをコントロールする能力によって決定されるようだ。間違いなく後者である著者は、血の濃さゆえの肉親との軋轢、本質を逸らさぬ強靭な意志が引き起こす他人との衝突、純度の高い精神が向かわせる自分との格闘の中で生きてきた。人間であることに真正面から対峙するその人生の軌跡を、カトリックの教義を背景に描いた本作は、読み終えてなお心に感動の余韻を響かせる。

 

◆ 本作を構成する3本の柱は、著者の生い立ち、カトリックによって培われた精神性、エルサルバドルとの関わりである。「心の内乱体験記」に詳述される著者の生家の物語は、著者の人生の原点としての重さを読む者に突き付けてくる。教養高きクリスチャン芸術一家に生まれた5男4女の兄弟姉妹は強大な母の存在に苦しむ。彼らの苦悩は、一番幼い著者に向かって坂道を転がる雪玉のように膨れ上がって向かってきた。著者は、力弱き者に襲いかかる強き者からの理不尽な仕打ちを描いて、人間が体の奥深くにしまいこんでいる弱肉強食という動物の本能を抉り出してみせた。人間という高等動物のそれは絶望的な世界だ。

 

◆ しかし、人間は人間によって救われるのもまた事実である。子宮回帰を願うほどにこの世と馴染まない著者は、クリスチャンの血筋であるがゆえに、マドレ・サンタルシオという心の母に巡り合うことができる。著者から救いを求める精神の咆哮を聞き取ったマドレが放った言葉は、本作のキーワードになるべく荘厳な響きを持つ。「私があなたの母になる。あなたはあなたの母の母になれ」。後に、著者は死にゆく母をその腕に抱いて旅立たせ、マドレとの約束を成就するのである。地球の何十億という人間の中にたった一人、自分に巡り合うために生まれてきた人間がいることを教えてくれる感動的なエピソードだ。

 

◆ もう一人、著者の人生に大きな影響を及ぼした人間がいる。エルサルバドル人である夫のエノクだ。マドレとは別の意味であるがままの著者を受け入れ、人生を共にしていく人物であり、彼との巡り合いが著者に絵筆を執らせ、内戦の語り部画家になるというライフワークをもたらした。著者の生きづらさは日本という国の閉鎖性にも関係している。混血国家であるエルサルバドルの大らかで温かな精神性は、否定され続けてきた著者の心を癒した。人は生まれ落ちる国を選べない。しかし、精神と肉体の属する国が違うという事実は、神秘的なレベルで説明されるものなのかもしれない。著者とエルサルバドルとの絆は、そう思わせるほど運命的だ。

 

世界は戦乱が絶えず、中東でも、多くの命が失われている。後略」

 

以上