ところで、柿の木

「ところで、柿の木」
 
去年、初めて自宅の庭に柿の木があって、実をつけているのを発見した私は、なにしろ「要介護者」なので、すっかりそのことを忘却し、枇杷の枝を切っているときに、はじめて、あの柿の木に気がついた。
 
柿の木は、枝がうねうねしていて、まっすぐ上に伸びたりする木ではないから、枇杷のすぐ横に偶然生えた関係で、枇杷の枝と絡み合って、まるでその存在がわからないのだ。ところが、今年は、庭の外側に垂れ下がった細い枝に、柿の実が2個だけなっているのを、裏通りに出て初めて発見した。
 
枇杷の枝を切っているとき、そのうねった枝がひどく邪魔だったので、2個の実を採集し、柿の木が、庭の外側でなく、上のベランダから見やすいように伸びる道をつけようと思って、枇杷の枝を切っていたら、枝の間に、まっすぐのびている柿の枝を見つけた。
 
なんだ、賢い柿だ。きちんと、枇杷の間を縫って、上に伸びている。通り道を作ろうと思って、枇杷の枝を払い、ベランダに出てかきの枝を探したら、あった。あった。
 
下枝を切って、この上に伸びている枝の通り道をつけたから、来年は、ベランダあたりで、柿の花が咲くかもしれない。そうすると、ベランダから夏には枇杷が、秋には柿が採れるようになる。すこし、うれしかった。